いつからだろうか。
彼と居て、なんとなく居心地の悪さを感じるようになったのは――
初めは彼が見せた光の剣が目的だった。だって伝説級の魔法剣よ。売ったらいくらになるかしら? そんな考えを持ちながら、あたしは彼の同行を許した。
子ども扱いする彼を、時にはいらだった感情で見ていたけどね。
だけど、あたしを心配してくれるのは事実で、結局、あたしは彼の扱いがだんだん気にならなくなっていった。それだけ馴染んだのかもしれない。
いつの間にか、一人旅から二人旅になって、傍に居るのが当たり前になっていた。
彼が冥王にさらわれた時、心臓が鷲掴みにされた気分になった。
彼を助けるためには世界がどうなってもいいと思った。それだけ。それだけ彼が大切に思うようになっていた。
重破斬を使って生き残ったのは、うれしい誤算だったけど、その時に、光の剣は失われてしまった。
あたしは、失った光の剣の代わりを探すと言い、また二人旅に戻った。
新しい剣が見つかった。
『斬妖剣』 魔力を切れ味に転化して何でも切れる魔法剣。これなら彼の身を十分守ることができるだろう。
そして、ついに一緒にいる理由が無くなった。
だけど、結局そのまま彼と一緒にいる。
『一緒に旅をするのに理由はいらない』
彼のその答えのせいで。
***
ルークとの戦いの後、あたしは彼の前で泣いた。こんなことははっきりいって初めてだった。
人一倍照れ屋なあたしは、人前で泣くなんてみっともないと思ってしたことがない。だけど、あの時は彼の優しさが身にしみて止まらなかった。
この時、あたしにとって彼は特別な存在だと改めて認識した。
そう、あたしの特別――ガウリイ。
『ガウリイ』この言葉を口にすると、胸が温かくなった。
その後、旅の行き先をガウリイに聞いたら、彼はあたしの郷里に行きたいと言った。
なぜ? どういう意味?――心の中での問いは、口には出さなかったけれど。
もごもごしていると、ガウリイは少し後「ブドウが食べたい」と言った。
ねえ、それは本心? あたしのことを気遣うより食欲?――でも、食欲なら、ゼフィーリアに行くまでに色々な料理が楽しめる。
ガウリイにとってあたしは子供で、女性としての魅力はないの?――でも、恥ずかしくてそんなこと聞けない。
結局、ガウリイの本心も分からないまま、あたしたちはゼフィーリアに向けて旅立った。
そして――
ごくっ……思わずつばを飲み込んでしまう。
実は、あたしは今ガウリイの部屋の前にいる。今日こそこの想いに白黒をつけるために。
自分がガウリイのことを好きだと認識してしまった今、無邪気に被保護者としていられなかった。
もともとあたしは物事にはきっちり白黒をつけたいタイプである。どんな結果になろうとも……あたしは答えが欲しいのだ。
深呼吸をしてからガウリイの部屋の扉を手の甲で二回ノックする。
「誰だ?」
「あたしよ、ガウリイ?」
「リナか、どうしたんだ?」
ガウリイは扉を開け、どうしたんだ?とばかりに訊ねる。
話があるときは、夜で互いの部屋を行き来していたから、今回も何か用事があってのことだと思ったのだろう。
でも違うの。あたしは――
「あのね。話があるんだけど……」
「ああ、まあ入れよ」
「うん……」
バタンと、軽く音がして扉が閉まる。
もう戻れない。あたしは部屋の中に入り込んで、勧められた椅子に座り込んだ。
そして、前置きもなく――
「ガウリイ、あのね……」
あたしは自分の想いを今告げようとした。
昔書いて放っておいたのを掲載。
短編は原作が多くなり、長編はパラレルが多くなる( ´∀` )
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